馬の田楽(うまのでんがく)
頼まれた味噌の荷をウマに積んで三州屋という酒屋に来た男、いくら呼んでも誰も出て来ないので、ウマを道端につないで待っているうち、居眠りをしてしまう。目をさますと店の者がいるので、味噌を持ってきたというとうちでは頼まない。裏町の三河屋のまちがいだといわれ、出かけようとするとウマがいない。そばで遊んでいた子供がいたずらをしたので、ウマがおどろいてかけだしてしまったのだ。男はあわててウマをさがしていき、道を人にたずねるが、つんぼのおばあさんだったり、よけいなことを長々としゃべったあげくウマは知らないという男や、どもりの男にぶつかったり、さっぱりゆくえがわからない。知り合いの虎十郎がむこうから来たので「味噌つけたウマ知らねえか」ときくと、したたか酔っている虎十郎「味噌つけたウマだあ。はっはっは、おらあこの年になるまでウマの田楽は食ったことがねえだ」
解説
上方種で、三代目小さんが東京へ持ってきた。新作派の五代目古今亭今輔がやった。