崇徳院(すとくいん) 別名「皿屋」「花見扇」
若旦那が上野の清水さまへおまいりに行ったときに茶店で会ったお嬢さんに恋わずらい。お嬢さんは「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」と書いた短冊を置いていってしまった。それは下の句が「割れても末に逢はむとぞ思ふ」で、末には夫婦になりましょうというこころの歌だといわれ、熊さんは若旦那のためにこのお嬢さんを探してくれと頼まれる。熊さんは湯屋へ十八軒、床屋へ三十六軒、やっとのこと床屋でお嬢さんが恋わずらいをして若旦那を探しているという話を聞きだす。相手は四斗樽二十本積んでくれるというんで、若旦那を探していたのだが、ばったりあって、二人とも「うちの店へ来い」と引っ張り合い。床屋の鏡を壊してしまったので床屋の親方が「しょうがねえじゃねえか」「いやあ親方、心配しなくってもいいよ、【割れても末に買わん(逢わむ)とぞ思う】」
解説
三代目三木助の十八番で初代桂文治作の上方種。東京では「皿屋」「花見扇」といってやはり「瀬をはやみ……」と書いた扇を若旦那がもらい、それを頼りに出入りの金兵衛がお嬢さんを探す。サゲは金兵衛が胸倉をとらえているので「苦しい。ここを放せ」「いいや放すんじゃねえ、合わせてもらうんだ」