親子酒(おやこざけ)

酒の好きな親子が息子の将来のためにと二人で禁酒の約束をした。しかし暑さにつけ寒さにつけほしくなるもので、息子が出かけた留守に女房を拝み倒して酒を飲みだした親父はつい飲みすぎて酔っ払う。そこへ息子が帰戻ってきたのであわてて片付ける。息子もべろべろに酔っておりお出入り先でごちそうになり旦那と二人で二升五合ペロリとあけたという。「やはりやめようと思ってもやめられませんね」「馬鹿野郎、おとっつぁんはこの身代をゆずろうと思えばこそ…」と見すえたが、ひとみが定まらずせがれが二人に見えるので「おまえみたいな化け物にはこの身代はゆずれません」せがれは大笑いして「冗談じゃない。こんなぐるぐるまわる家をもらったってしょうがない」

解説
もとは小ばなしで「円朝全集」にも「親子の生酔い」という題の小ばなしとして載っている。原話は宝永四年板「露休置土産」に載っている「親子共に大上戸」

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