目黒のさんま(めぐろのさんま)

ある大名が家来を十二、三人連れて秋の野駆けに中目黒へ出かけた。昼どきで腹がへったとき百姓家で焼くサンマのにおいをかいで食べたくなり、百姓に分けてもらって「うまい、うまい」と五、六匹食べた。その後ときどきサンマの味を思い出しては食べたがっていたが、ある日親戚へ呼ばれてなにかお好みの料理をといわれサンマを注文した。親戚ではびっくりしてサンマの上等のを取り寄せ、むしてすっかり脂を抜いたのを出した。殿様食べてみたがうまくない。「これはなんじゃ」「ご注文のサンマにござります」「ふうん、いずれから取り寄せた」「日本橋魚河岸にござります」「あ、それでいかん。サンマは目黒にかぎる」

解説
禽語楼小さんは殿様を松平出羽守でやったが、六代目円生はさる大名でやっていた。

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