替り目(かわりめ) 別名「銚子の代り目」
酔っ払った男が自分の家の前で車に乗ったりして帰ってくる。女房は早く寝かせようとするが、寝酒を飲まなければ寝られないとからむ。仕方なく女房は夜明かしのおでん屋へ出かけていく。亭主はその間にうどん屋をつかまえて酒のかんをつけさせ、なにか食べてほしいというのをおどかして追っ払ってしまう。そのあとで新内流しをつかまえて都々逸をひかせていい気持ちになっているところへ女房が帰ってきた。「おや、どうやっておかんをしたの」「いまうどん屋につけさせた」「なんか食べたの」「なにも食わねえでけんつくを食わせた」「かわいそうに、うどんでもとって…。うどん屋さーん」「おいうどん屋、あそこの家でおかみさんが呼んでるぜ」「どこです」「あの腰障子の見える家だ」「あそこは行かれません」「どうして」「いま行ったら銚子の代り目時分だから」
解説
最近はサゲまでやらず、女房がおでん屋へ行ったあと女房をほめると、まだ女房が隣室にいて「元帳を聞かれちゃった」というところで切ることが多い。原話は江戸小ばなし「枇杷葉湯」(文化九年板「福三笑」所載)