後生鰻(ごしょううなぎ) 別名「放生会」「淀川」

信心にこった大家の隠居がウナギ屋の前を通りかかると、親方が店先のまな板の上にウナギを乗せてキリで差そうというところ。これを見た隠居はウナギを買い上げて前の川へ持って行き「なむあみだぶつ……、もうこれからは決して人間につかまるようなところに来るではないぞ」といってザブーンと投げ込んだ。その後毎日同じようなことになるので、隠居はしばらくこの道を通るのをやめていたが、ある日のこと通りかかるとウナギ屋は魚切れで休んでいた。親方はなにかウナギにかわる物はないかと見回したが、赤ん坊しか見当たらない。仕方なく赤ん坊をまな板の上に乗せて出刃包丁を頭上でふりまわすと、隠居はおどろいて赤ん坊を買い受け「もう決してあのような恐ろしい家に生まれて来るではないぞ、わかったな。なむあみだぶつ……」と因果を含めて、前の川へザブーン。

解説
錯覚をサゲにしたものだが、信心を扱ったはなしにしては残酷性をおびている。上方では「淀川」と題し、料理屋の名を題名にとっている。

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